伊藤研究室の紹介
(博士前期課程用)
過去数年間の人員構成
研究分野の例
システム制御理論   と   その実社会への応用、および 研究室内実験
概要:
本研究室は、「フィードバック」と「ダイナミクス」をキーワードにして 「動くもの」づくりの最先端への道を切り拓く方法論の確立を目指して います。勘に頼って試行錯誤しながら実験を繰りかえすのには膨大な お金や時間が必要でリスクがあり、経験だけでは本当の新しいものはできません。 知識をシステマティックに活用・継承したり、新しいことを発見したりするの には理論的にアプローチすることが最も有効です。そこで、本研究室で は、ものごとの論理的な理解を重視し、それを実体とつなげることを 基礎において学習と研究を行います。

  移動エージェントの制御
極限環境作業、偵察、レスキューなどを想定した無人航空機(ドローン)やロボット等に おいて、センサネットワークや推定を活用しながら、複数の無人機を協調活動させる動か し方を研究している。移動体ロボットを使った実機実験にも力を入れている。 一台の無人航空機(ドローン)やロボット等を動かす際の性能向上方策についても研究している。
  スマートグリッドにおける動的意思決定
電力ネットーワークにおいて、再生可能エネルギー(風力・太陽・熱・波力・蓄電池 など)を活用しながら安定した電力を安定的に供給するための運用法を研究している。 また、膨大な数の電気自動車(PEV、PHV)の充放電が電力網に与える影響と、調和的 なスケジューリングについても研究している。
  スマートビルディング
電力需要の70%を超えるといわれるオフィスのさらなる省エネルギー化を目指して、 多種多様多数のセンサ・アクチュエータのネットーワーク活用した システムの設計方法を研究している。
  交通流の制御
自動車や航空機などの交通システムは現代社会にとって必要欠くべからざるものであるが、渋滞や排気ガス・省エネ・低炭素化などの環境問題などを発生させる。最近では、数式モデルを使って様々な交通流において現実に起こる渋滞の発生や消滅が説明できる。渋滞を抑制するような交通規制や運転・操縦の自動アシスト機構などの設計方法を研究している。
  コンピュータネットワークや無線通信システムの制御
情報通信技術の急激な発展にともない、情報化社会の基盤であるインターネット が急速に普及した。劇的にユーザが増加しため、ネットワークが混雑(輻輳)し、 ユーザに不快感を与えてしまう場合も多くなっている。そこで、今日ではネットワークの中心 的プロトコルであるTCPには輻輳制御のアルゴリズムが実装され、不快感を少し ながら軽減している。さらなるネットワークパフォーマンスの向上には、 ルータ(中継点)との連携による輻輳制御が不可欠であるが、まだその研究は始ま ったばかりである。ネットワークを快適にするアクティブなルータの制御設計の 開発は、情報化社会の基盤環境の改善に直結しており、世界的に注目を浴びている。 また、多機能で速くて快適、省エネでバッテリーが長持ちするような携帯端末 ネットーワークを実現するような、無線送信電力の制御も研究している。
  ロボット制御理論
ロボットとは、人の代わりに作業を行う装置・機械である。 1970年代頃から工場内で大活躍を始めたロボットは、近年では、宇宙、 介護、観光、交通、エンターテイメント、廃炉処理などさまざまな場で働い ている。そのようなロボットの特徴は、複数のアクチュエータを持ち、作業空 間・環境が多次元で変化する状況下で、複数の機能を自動に発揮することであ る。事前に定めた動作や、遠隔で人が操作・指令する装置・機械と区別して、 自律型ロボットと呼ぶこともある。 自律機能の実現には、複数のセンサーを搭載し、その情報を処理して複数のアク チュエータを工夫して自動的に動かすことが鍵である。これは多変数フィードバ ック制御系と呼ばれている。 すばらしいロボットは、ハード技術の進歩だけでは実現できない。 周囲の状況情報を行動に自動的に結びつける頭脳と、それを効果的に発揮させるハードの 構造設計の両方を追及することが大切である。 このようなロボット制御理論がAIの単体技術と違うところは、 ハードの構造を巧みに活用すること、及び、時間・タイミングを鍵とするところに ある。すばらしいAIが創り出した情報を使っても、時間・タイミングが間違うと ロボットは破壊・崩壊マシンになってしまうからである。 頭と体がつりあっていなければ無用の頭でっかちで終わる。
  生物概日リズムの仕組みとロバスト性の解析
人間や生物は一日24時間の生活を送っているが、それは生物自身の至るところにある 時計が時刻をきちんと教えてくれるからである。太陽を遮断した真っ暗な世界 でもその時計は大体24時間のリズムを持ちつづけるし、それが故に飛行機で 外国旅行をすると私たちは時差ぼけを経験する。 そのような体内時計が狂うと生物は疾病を引き起こしてしまうから、 巧妙な仕掛けで体内時計は見事に制御されていると考えられている。 時計遺伝子の存在が発見され時計の構造が分子を部品と して説明できるようになっているのは、最近発展のめざましい分子生物 学研究の大きな成果である。しかし、どうしてその構造が 定常的に頑強な振動リズムを引き起こすのか、どの部品が振動に不可欠な基本的 要素なのか、についてはまだ研究が行われていない。 体内時計に関わる分子・遺伝子のつながりを微分方程式で記述し, これに制御理論,安定論,ロバスト制御の理論を活用して 体内時計の原理を探求することは,まさに過去に類のない最先端の 科学研究である. 近年ヒトゲノム配列解析が一応の完了を見たことで,今後は遺伝子や たんぱく質に関する部品・分子レベルの知識が急速に拡大するのは 明白である.その知識を手がかりとして生物を機能システム として理解しようとするのがシステムバイオロジーである. その科学の発展にはたんぱく質に関する複雑なシステムの挙動の解析が不可欠で あり,まさに制御理論が決定的に重要な役割を担う.
  研究室レベル実験装置による制御実験
「ロバスト制御理論」、「エージェント群制御理論」、「非線形制御理論」、 「マルチレートディジタル制御理論」、「むだ時間制御理論」、「分散制御理論」 などの最新理論を利用して、制御システムを実際の物として制作,設計、実験する。 これにより新理論の持つ新しい制御能力を実際に体験し, 制御研究界及び社会へその魅力をデモンストレーションする。 例えば,現在研究室には協調型マルチレート制御を実現する 「ドローン実験室」や「二重台車システム」という実験装置があり、 「小型車両型自律ロボット」や 「倒立型車両型自律ロボット」を使った研究もしている。
  下水処理施設における高度水質処理システ ムの設計
我々世界全体の生活が豊かになるつれて下水水質の環境への影響はますます 深刻となり、下水処理場の効率的な運営、高度技術の導入が、現代社会 における最重要課題となってきている。 近年では、世界各国において厳しい環境基準を導入する動きがあり、 従来の下水処理施設、その現場の経験による運用では対応が不可能と なってきた。 そこで、シミュレーションによる予測技術や,監視システムの必要性 が叫ばれてきており,さらには高度水質処理を実現する制御システム の開発が必要となっている.近年、下水処理システムの研究は ヨーロッパにおいて生物化学的見地から始められてはいるものの, 高度水質制御技術の実現へは至っていない。 そこで、現在、都市工学者、生物学者、化学者などのまえにたちふさがる 高度水質処理の諸難問を打破するために、 新たに数式モデルに基づいて制御理論的観点 から制御方策の開発にアプローチする。
  ロバスト制御理論
物は数式どおりに振るまってはくれない。 授業での制御理論は、物が正確に数式で表現されている ときのみ有効である.ロバスト性とは, 「対象が変化する物であったり、対象が正確に把握でき なくても、可能最大限の、操作性を確保しよう」という概念.
  非線形制御理論
物は全て非線形。非線形であることが本質であるという物が 私たちの身のまわりに非常に多くある。 大学4年生までの授業で扱った線形制御理論は、物が線形、あるいは、 線形に極めて近い場合、のみ有効である。 非線形制御とは,「非線形だからたといってあきらめず高性能制御を 可能にする」という難しいが非常に面白く魅力ある最先端の理論である.
  マルチレートディジタル制御理論
現代の制御は全てディジタル処理である。 信号は微小時間間隔で離散的に近似処理される。 現代の私たちが必要としている限界にせまる高度な制御においては、 離散時間処理に起因する制御性能の障壁に 悩まされることが少くない。マルチレートディジタル制御は、 「離散時間処理の障壁を賢くうまく乗り越えよう」 という現代に欠かせない最先端の制御技術である。
研究体制
大学院生ゼミ週1−2回程度 + 卒論生との合同勉強会・発表練習会
  及び  
講究や修士論文研究のための定期的ディスカッション

前提知識
その他
例えばこんな人はぴったり
若さ溢れるみんなといっしょに生き生きと勉強・研究できることを楽しみにしています ! ! !
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